積立NISAの未来〜英国ISAに学ぶ〜
英国ISAに学ぶ
積立NISAは英国のISAを手本として作られました。その本家である英国ISAの設立当時から現在の状況を観察すれば、積立NISAの未来像が垣間見られるかも知れません。
英国ISAを検証して、積立NISAに役立てる事は非常に有効です。そして、もし英国ISAで問題点があれば、先に予測し回避する事で将来の危機に対処する事もある程度可能になります。
英国ISAの設立の意義
イギリスでは当時、不況の経済の影響で低い貯蓄率に悩まされていました。そこでその低い貯蓄率を解消する為に政治的な思惑もあり英国ISAは1999年に設立されました。
設立された当初は暫定的な措置であり、ISAの運用期限も決められていましたが、現在では恒久的な制度となり広く英国民に認知・支持されている貯蓄・投資制度です。
(出典:金融庁)
英国ISAから学べる将来の積立NISA像
NISAの統廃合
現在の通常NISA・積立NISA・ジュニアNISAは統合されて、通常NISAは積立NISAに一本化される可能性が高くなりそうです。また、ジュニアNISAはその特性から、積立NISAと分けて共存する形となりそうです。
その理由は、現在での通常NISA口座は短期売買(5年)と期限が定められており、長期視点から考察すると国民の長期投資の利益に繋がりません。また、これから投資を始めたい方にとって、通常NISAと積立NISAは両立出来ず、選択する必要がある為に混同されたり、選択に迷ってしまう場面が想定されます。
まず、システムをシンプルにして、わかりやすく一本化にしたいと言うのが金融庁の思惑では無いでしょうか。
その際の対策として、これからNISA口座を開設して投資を始めたい方は、積立NISAオンリーで検討した方が長期に渡って投資が出来るのでお勧めします。
もちろん、通常NISAの方が投資先の選択肢が多く、投資に慣れた方向けなので、ひとによっては通常NISAのニーズはありますが、これから長期で投資に取り組む人は積立の方がメリットが高くなります。
期限の恒久化
積立NISAは現在20年の有限措置となっていますが、将来は無期限の制度として変更される可能性があります。
その理由としては、英国ISAも設立当初こそ10年という制限がありましたが、今では期限なしの恒久化された制度として定着しています。
その時の対策としては、20年、あるいは30年の長期を視野に入れた投資の利益を積み増す事を考えると、2、30年後も継続して後世に残り成長する投資対象を選択する必要があります。
ある投資信託等を選択する場合、何十年後もその投資対象が残っているか疑問を生じさせる様な銘柄は避けた方が賢明です。それよりも、例えば世界経済のインデックス投資のような長期に渡り経済の拡大が見込まれる投資対象を選択した方が良い結果をもたらすでしょう。
手続き等の使い勝手の向上
現在の書類手続きの利便性が上がる可能性があります。
これは、英国ISAは例えば掛け金の拠出時の書類の申請等は毎年必要ありません。一方、積立NISAにおいては制度が始まったらばかりですが、年末調整の控除額の申請をしないと非課税となりません。
多くの積立をしている顧客にとっても、また税務署にとっても書類等の簡便さが望まれると思います。
積立NISAの未来
広く国民に認知され、非常に人々の将来の年金に役立っている英国ISAの先行事例を見ていると、積立NISAも日本国内に深く浸透して投資に興味が無かった方も含めて、無くてはならない制度となっていくでしょう。
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