NISAの成り立ちについて楽しく解説するために、以下の流れでご説明します。NISAは英国のISAを手本として作られました。その本家である英国ISAの設立当時から現在の状況を観察すれば、NISAの未来像が垣間見られるかも知れません。
NISAの手本は英国ISA
NISA(ニーサ)の基礎は、イギリスで誕生したISA(Individual Savings Account)にあります。英国のISAは、1999年に設立され、国民が資産形成をしやすくすることを目的とした非課税制度です。ISAは、貯蓄や投資の利益に課税されない仕組みであり、これにより多くのイギリス国民が金融資産を少しずつ増やしていくことが可能になりました。ISAは、日本でも多くの注目を集め、その仕組みが参考にされ、日本版ISAとして「NISA」が誕生することとなったのです。
英国ISAの設立経緯とその当時の状況
1990年代のイギリスは、株式市場のボラティリティや景気の変動がありましたが、同時に政府が一般市民に金融資産形成を促進する動きを強めていました。当時のイギリス政府は、国民が長期的な視点で投資を行うことを奨励し、個人の経済的な基盤を強化することを目指していました。これが、ISA制度の導入に繋がった背景です。ISAは、投資のリスクを軽減しながら、資産を形成する方法として、主に若年層や中低所得層を対象にした手軽な金融商品としてスタートしました。
英国ISAはその後にどうなった?
ISAは制度の開始以来、徐々に内容が充実していきました。株式や投資信託だけでなく、現金ISAやジュニアISAなど、さまざまな種類のISAが提供されるようになり、年齢やニーズに応じた柔軟な活用が可能になりました。英国のISA制度は、税制上の優遇措置を通じて、多くの国民が資産を増やすための手段として利用しています。また、今ではイギリスにおける「個人投資の基礎的な選択肢」として国民の間に広く根付いているのです。
一般NISAから積立NISA併用へ
日本では、2014年にNISA制度がスタートし、最初は一般NISAとして多くの個人投資家に利用されましたが、制度の進化とともに、より長期的で安定した資産形成を目的とした「積立NISA」が2018年に導入されました。積立NISAは、毎月一定額を積み立てていくスタイルで、投資の敷居を下げ、初心者でも始めやすい制度です。これにより、若い世代や投資未経験者が少額からでも気軽に資産形成を始められるようになりました。
積立NISAの未来
積立NISAは、将来的にも国民の資産形成を後押しする重要な制度として期待されています。日本政府は、少子高齢化が進む中で、老後の経済的な安定を支える手段として積立NISAを一層推進していく方針です。また、今後の経済環境や国民のニーズに応じて、制度の見直しや拡充が検討される可能性もあります。日本の若者や働き盛りの世代が将来に備えるための強力なサポートとなることが期待されています。
以上のように、NISAはイギリスのISAを手本にして生まれ、着実に進化を遂げています。積立NISAを活用することで、将来の資産形成を楽しみながら始めることができるでしょう。積立NISAは英国ISAのように、今後も使い勝手が向上される事が想定されます。希望の意味も込めて、以下では将来のNISAを大胆に予想します。
英国ISAから学べる将来の積立NISA像
NISAの統廃合
現在の通常NISA・積立NISA・ジュニアNISAは統合されて、通常NISAは積立NISAに一本化される可能性が高くなりそうです。また、ジュニアNISAはその特性から、積立NISAと分けて共存する形となるでしょう。その理由は、現在での通常NISA口座は短期売買(5年)と期限が定められており、老後資金確保の長期の視点から考えると、国民の長期投資の利益に必ずしも繋がりません。
また、これから投資を始めたい方にとって、通常NISAと積立NISAは両立出来ず、選択する必要がある為に混同されたり、選択に迷ってしまう場面が想定されます。まず、システムをシンプルにして分かりやすく一本化したいと言うのが金融庁の思惑では無いでしょうか。
期限の恒久化
積立NISAは現在20年の期限のある措置となっています。将来は英国ISAで紹介したように無期限の制度として変更される可能性があります。その理由として、英国ISAも設立当初こそ10年という制限がありましたが、今では期限なしの恒久化された制度として定着しています。
期限の定めなしにNISA制度が変更された場合、20年、あるいは30年の長期を視野に入れた投資の利益を積み重ねなければなりません。数十年経過後にその投資対象が残っているか疑問を生じさせる様な銘柄は避けた方が賢明です。それよりも、例えば世界経済のインデックス投資のような長期に渡り経済の拡大が見込まれる投資対象を選択した方が良い結果をもたらすでしょう。
手続き等の使い勝手の向上
書類手続きの利便性が上がる可能性があります。現在のNISA口座は、1つの証券会社しか持てません。将来は証券会社ベースの管理口座ではなく、各個人のNISA口座がベースとなってそれぞれの証券会社に注文する形態が一般的になるかもしれません。
積立NISAの未来
英国ISAは広く国民に認知され、人々の将来の有益な資産運用として役立っています。積立NISAも日本国内に深く浸透して、国民全ての方にとって無くてはならない有益な制度となっていくでしょう。
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