複利効果を最大限に活かすと、末期閾値(まっき・しきいち)と呼ばれる域に到達します。投資の効果が放物線を描いて大きく上昇する地点。これがレイトステージ・スレッショルドです。ここでは、効果的に利用する重要なポイントを分かりやすく解説します。
複利効果は、投資の世界で最も強力な武器の一つです。時間が経つほど加速度的に資産が増える仕組みですが、その中でも「レイトステージ・スレッショルド(Late-stage threshold)」と呼ばれるポイントに到達すると、資産が爆発的に増加し始めます。これは、複利の真価が最大限に発揮される瞬間であり、投資家にとって極めて重要な局面です。
複利効果とは?
複利とは、「利益が利益を生む」仕組みです。元本だけでなく、そこから生まれた利益にもさらに利息が付くことで、資産が雪だるま式に増えていきます。
例:
•100万円を年利5%で運用すると、1年後には105万円になります。
•さらに翌年、その105万円に対して5%の利息が付くため、110.25万円になります。
このサイクルが繰り返されることで、10年後、20年後には元本の何倍にも膨れ上がります。
レイトステージ・スレッショルドとは?
複利効果は最初のうちは緩やかですが、ある一定の期間が過ぎると、資産が急激に増加するポイントがあります。これが「レイトステージ・スレッショルド」です。
イメージで例えると最初は小さな雪玉を転がしているような状態です。
徐々に雪が付いていき、やがて転がすだけで雪玉が急激に大きくなる瞬間が訪れます。
まさに、これがレイトステージ・スレッショルドです。投資を始めた方ならウォーレン・バフェットのスノーボールと言えばピンとくるかも知れません。
数学的に見ると複利は指数関数のグラフと同じ形を描きます。最初は緩やかで、一定期間が過ぎるとカーブが急激に上向きます。この急上昇する地点が、レイトステージ・スレッショルドです。
複利効果を説明するのに、日本の有名な逸話「曽呂利新左衛門(そろりしんざえもん)と米粒の話」を知っていますでしょうか。この逸話は「少しずつ増えるものが、どれだけ大きな差を生むのか」を見事に表しています。
【逸話のあらすじ】
曽呂利新左衛門は豊臣秀吉に仕えたとされる人物で、機知に富んだユーモアのある侍でした。ある日、新左衛門は秀吉から褒美をもらうことになりました。その際、新左衛門はこう言いました。
「褒美は多く要りません。初日に1粒の米を頂き、翌日は2粒、さらにその次の日は4粒と、毎日倍にして30日間ください。」
秀吉は「たったそれだけか?」と軽く承諾しました。先のことを深く考えずに、内心で「控えめな褒美を貰おうとするとはたいそう小心者よのう」と思ったかもしれません。しかし、この約束が思わぬ結果を招くことになります。
【実際に計算してみると…】
1日目は1粒、2日目は2粒、3日目は4粒と進んでいきます。では、30日目にはどうなるでしょうか?
計算式(初日に1粒からスタートして倍々に増える場合)
•1日目:1粒
•2日目:2粒
•3日目:4粒
•4日目:8粒
•5日目:16粒
30日目には「2の29乗」という驚異的な数になります。
2の29乗 = 536,870,912粒(約5億4千万粒)
仮に1合(150g)を4500粒とすると、30日目だけで約12万合(約12,000kg)もの米が必要になります。途中から秀吉は驚異的な数値に青ざめたことでしょう。
【複利効果との共通点】
この話は、まさに複利の仕組みと同じです。最初は少しの利益でも、それが積み重なり、次第に爆発的に増えていきます。複利の仕組みをシンプルに言うと「利益が利益を生む」ということです。
なぜレイトステージ・スレッショルドが重要なのか?
レイトステージ・スレッショルドに到達すると、資産の成長スピードが一気に加速します。これが投資で「大きく利益を得る」最大のチャンスとなります。
ポイント:
•途中で資産を取り崩さないことが重要です。スレッショルドに到達する前に利益を引き出してしまうと、急成長のタイミングを逃してしまいます。
•時間が最大の味方です。レイトステージ・スレッショルドに達するには「年数」が必要になります。若いうちから投資を始めるほど、この効果を享受しやすくなります。
新NISAで複利効果を活かす方法
新NISA(少額投資非課税制度)は、長期の積立や運用がしやすい設計になっています。非課税期間が無期限化されたことにより、時間を味方に付けて複利効果を最大限に活かせます。
具体的な方法:
•つみたて投資枠で毎月一定額を積み立てることで、時間をかけて資産を形成します。
•成長投資枠を活用して、リターンの高い投資信託や個別株に投資し、サテライト運用を行います。
•資産を長期にわたって運用し、レイトステージ・スレッショルドを迎えるまで継続します。
レイトステージ・スレッショルドの具体例
例:30年間、毎月3万円を積立投資した場合
•年利5%で運用すると、30年後には約2500万円になります。
•しかし、運用を40年続けると約4500万円に達します。
•たった10年延ばしただけで、2000万円の差が生まれます。これがレイトステージ・スレッショルドの力です。
まとめ
複利効果の最大の魅力は、時間の経過とともに急激に資産が成長することです。レイトステージ・スレッショルドに到達することで、投資の成果は劇的に変わります。
投資は早く始めて、長く続けることが鍵です。新NISAを上手に活用し、複利の恩恵を最大限に受け取ることで、将来の資産形成を有利に進めましょう。
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